第11部麻酔-第1節麻酔料-L008マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

1 人工心肺を用い低体温で行う心臓手術、区分番号K552-2に掲げる冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)であって低体温で行うものが行われる場合又は分離肺換気及び高頻度換気法が併施される麻酔の場合
イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合
 24,900点
ロ イ以外の場合
 18,300点

2 坐位における脳脊髄手術、人工心肺を用いる心臓手術(低体温で行うものを除く。)若しくは区分番号K552-2に掲げる冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないものであって低体温で行うものを除く。)が行われる場合又は低血圧麻酔、低体温麻酔、分離肺換気による麻酔若しくは高頻度換気法による麻酔の場合(1に掲げる場合を除く。)
イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合
 16,600点
ロ イ以外の場合
 12,200点

3 1若しくは2以外の心臓手術が行われる場合又は伏臥位で麻酔が行われる場合(1又は2に掲げる場合を除く。)
イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合
 12,450点
ロ イ以外の場合
 9,150点

4 腹腔鏡を用いた手術若しくは検査が行われる場合又は側臥位で麻酔が行われる場合(1から3までに掲げる場合を除く。)
イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合
 9,130点
ロ イ以外の場合
 6,710点

5 その他の場合
イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合
 8,300点
ロ イ以外の場合
 6,100点

注1 一の当該全身麻酔において複数の項目に係る手術等が行われる場合には、最も高い点数の項目により算定する。

2 全身麻酔の実施時間が2時間を超えた場合は、30分又はその端数を増すごとに、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 1に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合
 1,800点
ロ 2に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合
 1,200点
ハ 3に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合
 900点
ニ 4に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合
 660点
ホ 5に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合
 600点

3 酸素を使用した場合は、その価格を10円で除して得た点数(酸素と併せて窒素を使用した場合は、それぞれの価格を10円で除して得た点数を合算した点数)を加算する。酸素及び窒素の価格は、別に厚生労働大臣が定める。

4 硬膜外麻酔を併せて行った場合は、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 頸・胸部
 750点
ロ 腰部
 400点
ハ 仙骨部
 170点

5 注4について、硬膜外麻酔の実施時間が2時間を超えた場合は、30分又はその端数を増すごとに、注4の各号に掲げる点数にそれぞれ375点、200点、85点を加算する。

6 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔と同一日に行った区分番号D220に掲げる呼吸心拍監視の費用は、所定点数に含まれるものとする。


(1)ガス麻酔器を使用する閉鎖式・半閉鎖式等の全身麻酔を20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(2)静脈注射用麻酔剤を用いて全身麻酔を実施した場合であって、マスク又は気管内挿入による酸素吸入又は酸素・亜酸化窒素混合ガス吸入と併用する場合は、20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(3)本区分の全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とする。なお、これ以外の監察等の時間は実施時間に含めない。

(4)麻酔が困難な患者とは、以下に掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。
ア 心不全(NYHAⅢ度以上ものに限る。)の患者
イ 狭心症(CCS分類Ⅲ以上のものに限る。)の患者
ウ 心筋梗塞(発症後3月以内のものに限る。)の患者
エ 大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全又は三尖弁閉鎖不全(いずれもⅡ度以上のものに限る。)の患者
オ 大動脈弁狭窄(大動脈弁平均圧較差50mmHg以上のものに限る。)又は僧帽弁狭窄(僧帽弁平均圧較差10mmHg以上のものに限る。)の患者
カ 植込み型ペースメーカ又は植込み型除細動器を使用している患者
キ 先天性心疾患(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25㎜Hg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者
ク 原発性肺高血圧症(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25㎜Hg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者
ケ 呼吸不全(動脈血酸素分圧60㎜Hg未満又は動脈血酸素分圧・吸入気酸分画比300未満のものに限る。)の患者
コ 換気障害(1秒率70%未満かつ肺活量比70%未満のものに限る。)の患者
サ 気管支喘息(治療が行われているにもかかわらず、中発作以上の発作を繰り返すものに限る。)の患者
シ 糖尿病(HbAlc8.0%以上、空腹時血糖160mg/dL以上又は食後2時間血糖220㎎/dL以上のものに限る。)の患者
ス 腎不全(血清クレアチニン値4.0㎎/dL以上のものに限る。)の患者
セ 肝不全(Child-Pugh分類B以上のものに限る。)の患者
ソ 貧血(Hb6.0g/dL未満のものに限る。)の患者
タ 血液凝固能低下(PT-INR2.0以上のものに限る。)の患者
チ DICの患者
ツ 血小板減少(血小板5万/uL未満のものに限る。)の患者
テ 敗血症(SIRSを伴うものに限る。)の患者
ト ショック状態(収縮期血圧90㎜Hg未満のものに限る。)の患者
ナ 完全脊髄損傷(第5胸椎より高位のものに限る。)の患者
二 心肺補助を行っている患者
ヌ 人工呼吸を行っている患者
ネ 透析を行っている患者
ノ 大動脈バルーンパンピングを行っている患者
ハ BMI35以上の患者

(5)流量計を装置した酸素ボンベ及びエーテル蒸発装置を使用し、気管内チューブ挿入吹送法又はノンレブリージングバルブを使用して麻酔を椎持した場合は本区分により算定できる。

(6)本区分について「通則3」の加算を算定する場合の所定点数は、「注2」、「注4」及び「注5」による加算を含むものとする。

(7)麻酔の種類について
ア 「心臓手術」とは、開胸式心大血管手術をいう。
イ 「低血圧麻酔」とは、手術操作を安全にし、出血量を減少させる目的で、脳動脈瘤手術や出血しやすい手術の際に、低血圧の状態を維持する麻酔をいう。なお、この場合の「低血圧」とは概ね、患者の通常収縮期血圧の60%又は平均動脈庄で60~70mmHgを標準とする。
ウ 「高頻度換気法」とは、特殊な換気装置を使用し、一回換気量を少なくし、換気回数を著しく増加させた換気法をいう。なお、この場合の「換気回数」は概ね1分間に60回以上である。
エ 低体温麻酔は、重度脳障害患者への治療的低体温では、算走できない。

(8)複数の点数に分類される麻酔や手術が一の全身麻酔の中で行われる場合においては、行われた麻酔の中で最も高い点数のものを算定する。なお、ここでいう一の全身麻酔とは、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を接続した時点を開始とし、患者が麻酔器から離脱した時点を終了とする麻酔をいう。

(9)麻酔の実施時間
ア 全身麻酔の実施時間は、(3)により計算する。
イ 当該麻酔の開始時間および終了時間を麻酔記録に記載すること。
ウ 複数の点数に区分に当たる麻酔が行われた場合は、以下のように算定する。
(イ)同じ点数区分にある麻酔の時間について合算する。
(ロ)麻酔時間の基本となる2時間については、その点数の高い区分の麻酔時間から順に充当する。
(ハ)(ロ)の計算を行った残りの時間について、それぞれ「注2」の規定に従い30分又はその端数を増すごとに加算を行う。
(二)(ハ)の場合において、各々の区分に係る麻酔が30分を超えない場合については、それらの麻酔の実施時間を合計し、その中で実施時間の長い区分から順に加算を算定する。なお、いずれの麻酔の実施時間も等しい場合には、その中で最も高い点数の区分に係る加算を算定する。
例1 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合
①最初に仰臥位で10分間
②次に伏臥位で2時間30分間
③最後に仰臥位で20分間
の計3時間の麻酔を行った場合
基本となる2時間に②の2時間を充当
 9,150点
②の残り30分間
 900点
仰臥位で行われた①と③を合計して30分の加算
 600点
算定点数
 10,650点

例2 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合
①最初に仰臥位で10分間
②次に側臥位で1時間20分間
③最後に仰臥位で47分間
の計2時間17分の麻酔を行った場合
基本となる2時間に②の1時間20分+①と③の57分のうち40分
 9,130点
①と③の残り17分の加算
 600点
算定点数
 9,730点

例3 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合
①最初に仰臥位で5分間
②次に側臥位で21分間
③次に分離肺換気で1時間27分間
④次に側臥位で30分間
⑤最後に仰臥位で5分間
の計2時間28分の麻酔を行った場合
基本となる2時間に③の1時間27分+②と④の51分のうち33分
 16,600点
②と④の残り18分+①と⑤の10分の合計28分の加算
 660点
算定点数
 17,260点

例4 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合
①最初に仰臥位で10分間
②次に心臓手術を人口心肺装置を使用せずに45分間
③次に心臓手術を人口心肺装置を使用して2時間25分間
④次に心臓手術を人口心肺装置を使用せず1時間
⑤最後に仰臥位で10分間
の計4時間30分の麻酔を行った場合
基本となる2時間に③の2時間を充当
 16,600点
②+④で1時間45分となり、このうち30分×3の加算
 2,700点
③の残り25分間に④の残り15分間のうち5分間を加算
 1,200点
①+⑤の20分間に④の残り10分間を加算
 600点
算定点数
 21,100点
                             

(10) 酸素・窒素
ア 酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)の定めるところによる。
イ 酸素及び窒素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置を使用して全身麻酔を施行した場合、動力源として消費される酸素及び窒素の費用は、「注3」の加算として算定できない。

(11) 硬膜外麻酔加算(注4)
硬膜外麻酔を併せて行った場合は、その区分に応じて「注4」に掲げる点数に加算し、さらにその実施時間に応じて「注5」に規定する加算を算定する。

(12)所定点数に含まれる費用
ア 本区分の麻酔法の際に使用するソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
イ 区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコの検査においてスコープの検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、当該検査に要する費用は別に算定できない。
ウ 体温(深部体温を含む。)測定の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。
エ 経皮的動脈血酸素飽和度測定又は終末呼気炭酸ガス濃度測定に要する費用は所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終末呼気炭酸ガス濃度測定は別に算定できない。

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